大学院の教育

大学院カリキュラム


経済現象の解明に挑む

 

 経済学・経営学を学ぶということは、私たちが生活している社会や、働いている組織について、 その構造や変化の仕組みを解明するということです。現在、世界各地で地域紛争、貧困、環境破壊などの深刻な問題が生じています。国内でも、医療、少子高齢化、女性の社会進出など、急速で大きな構造変動に直面しています。このように、経済学・経営学が取り組むべき課題は山積しており、今後の新しい発展が期待されています。 このような背景のもと、本研究科は、最先端の学問を教授する場であり、同時に、研究に取り組む者どうしが切磋琢磨しあう討論の場であること、そして「応用能力」と「研究能力」を備える一流の研究者ならびに高度な専門的職業人を育成することを目指しています。

 本研究科は、理論・政策、制度・歴史、経営・会計などの分野で、理論研究,実証研究,文献研究,事例研究など広範な領域におよぶ研究を進めています。本研究科の組織は、「社会経済システム専攻」と「産業経営システム専攻」の2専攻で構成され、多様な問題関心を持った学生を広く受け入れるとともに、社会人、外国人留学生にも積極的に門戸を開放し、現代的で国際的な教育環境を整備しています。こうした環境のもとで、経済学・経営学の両分野にわたって講義、演習、論文指導などを組み合わせた教育をおこなっています。なお、前期課程には、在職のまま入学できる社会人コースを設けています。

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学部・修士5年一貫課程修了者の声

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2016年度修了生

岡田 悠希さん(角ヶ谷ゼミ)

 私は、学部修士5年一貫プログラムという制度を活用して大学院に進学しました。私が大学院に進みたいと思ったのは、公認会計士試験の勉強を始めてからでした。試験勉強で会計の知識が増えると、試験のための勉強ではなく、研究をしたいと思うようになったのですが、早く社会人として働きたいという思いもありました。そこで、指導教員の先生に紹介された5年一貫制度で大学院に進学することに決めました。5年一貫のメリットとしては、ゼミ以外の授業がなく時間を持て余す4年生から大学院の授業を履修することができ、時間を有効活用することができる点があげられます。一方で、一般的な大学院生は2年かけて修士論文を書くのに、5年一貫は2年で卒業論文と修士論文の2本の論文を書かないといけないため、十分な研究ができないのではという不安があると思います。私は1年という限られた時間の中で、指導教員の先生の指導もあり、満足のいく修士論文を書くことができたので、そういった心配はいらないと思います。

 大学院では会計と統計の勉強を中心にしました。会計については、学部生時代に学んだ理論を活かして様々な論文を読みました。公認会計士の判断力に関する論文が特に面白く、修士論文では、公認会計士の判断力に影響を与える要因に関する研究をしました。研究では統計の知識を使う必要があったので、統計を学べる授業を多く履修しました。学部生の頃も統計の授業は履修していましたが、知識が身についておらず、大学院で学び直し、研究で使うことで、これから社会に出て役立つ知識を身につけられたのではないかと思います。大学院で特に大変だったことは英語の勉強です。先行研究はほとんど英語の論文なのに、私は英語が苦手なので、論文を読むのにとても苦労しました。

 私は実務と研究を両立できる公認会計士を目指しています。これからは大学院で学んだことを活かして会計士として活躍したいです。この1年間は、大変なこともたくさんありましたが、とても充実した時間を送ることができました。5年一貫で大学院に進学してよかったと思います。5年一貫は社会人として働きたいけど、もう少し勉強したい、研究に興味があるという人に向いている制度だと思います。大学院への進学を迷っている方は5年一貫制度を活用してみるのはどうでしょうか。

社会人大学院生修了者の声

2016年度修了生

山下 智さん(山田ゼミ)
大手重工業メーカー 民間航空機部門 名古屋勤務

 私が大学院進学を決めた理由は、仕事上のさまざまなプロジェクトで、失敗や成功を経験するうちに、自分たちの意思決定に疑問を持つようになったことでした。選んだ戦略が、果たして本当に最適だったのか、最適なはずの戦略がなぜ失敗してしまったのか、また他業種や海外の企業のケースから失敗を予期できなかったのか、という疑問を抱くようになりました。他方、自社が進出しないと決めた市場で、その後に他社が進出し成功している事業もありました。そこで,将来、自社や自身の業務レベルで取るべき戦略を考えられるようになりたいと考えて、進学を決意しました。

 大学院で学んで良かったことは、お金と時間を使ってでも勉強したいという、高い意欲を持った社会人どうしの繋がりを形成できたことです。東京など遠方から通学される方も多くいました。高い意欲を持った仲間と討議した経験は、今後の貴重な財産となると思います。

 私を含め、社会人で大学院に通う人は皆、知識を仕事にフィードバックすることが最優先です。名大の大学院は、ビジネススクールではないので、たしかに仕事に直結する、即効性のある知識を得ることはできません。正直なところ、結果を事後的に分析するだけの研究や、「何が最適かはその時々の状況で変わる」という説明には釈然としない気持ちも残ります。また,多くが日本人という環境だったため、もっと外国人の学生と海外企業の戦略について議論をしてみたかったという悔いもあります。しかし、戦略を立てるための基礎的な財務・経営の学習や、他の学生とのディスカッションを通じて、全体像を把握し構造的に考える能力を身につけることができました。この力は、今後の仕事の様々な場面で役に立つと思います。

 私は製造企業に勤めており、これまでは「良い品質のモノを提供する」というプロダクトアウトの発想を強く持っていました。ただ大学院で学ぶうちに、良い品質のものを提供するだけではなく、同時に「市場が求める機能・品質のモノを提供する」というマーケットインの発想や、それに基づく事業展開も必要であると考えるようになりました。

 「志有る者は、事竟に成る」という故事があるように、目標をいつか成し遂げられると考えて、この2年間で得た考え方を、実社会での仕事に活かしていきたいと思います。

 

2016年度修了生

田代 達生さん(清水ゼミ)
地方銀行 法人営業

 私は地方銀行において法人向け営業の仕事をしています。我が国は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」、いわゆるマイナス金利政策を選択し、銀行は従来からの伝統的な融資では稼ぐことが難しくなってきています。地方銀行は取引先企業への融資判断において、財務諸表だけでなく、その技術力や販売力、成長性といった、数字に表れない定性情報を織り込み(事業性評価)、企業と親密な関係を築く(リレーションシップ・バンキング)ビジネスモデルに深化することを問われています。

 私が入学したのは39歳でした。これまで銀行員として約15年の法人営業中心の仕事を振り返ったときに、銀行員として自分はわりと腕の立つ(営業はそれなりにできる)ほうだと思うけれども、それがはたして金融の世界を良くすることに役立っているのか、という疑問を抱きました。そして、この疑問を学問的な世界から見直してみたらどうだろうか、と考え、本研究科を受験することにしました。

 とはいえ、実は経済学について、当時の私はほとんど知識を持っていませんでした(大学は文学部卒業)。不安を抱きつつ入学してみると、ミクロ・マクロ・計量経済の各テーマにおいて、私のような属性の人に配慮した(と思われる)学部レベルからスタートする講義が、それぞれ用意されていました(しかし半期終了時には大学院レベルに到達する、いってみれば2階分の階段をいっぺんに駆け上がる講義で、ついていくのは相当大変でしたけれども)。本研究科を志される方々のために言えば、きっと何とかなります。

 自分の関心のあるテーマは中小企業金融でした。清水先生から様々な先行研究を紹介していただき、論文(大半は英語)をあれこれ読んでいきました。全部で40本くらい読んだと思います。私は、リレーションシップ・バンキングに関する先行研究と、日本において行われていることが、どのように異なるか、という相違点に着目しました。修士論文では、「日本のリレーションシップ・バンキングは、なぜ稼げないのか?」という、(銀行員にとってはわりと刺激的な)テーマについて書きました。

 大学院で中小企業金融についての学問的な知見を得たことで、私は、地方銀行のこれからのあり方を、理論と実践の両方の視点から、立体的にとらえることができるようになった気がしています。大学院で学んだことを基礎におき、今後も現場で新たな企画や案件に挑戦していきたいと思います。